高知県のお茶

土佐茶とは

隠れた銘茶『土佐茶』

四国の太平洋側に位置し、坂本龍馬の出身地で知られる南国土佐『高知県』。山々に囲まれ、清流が流れる、たいへん自然豊かな場所です。この自然豊かな土地で育った茶葉は、力強く、苦味少なく香りと味わいが豊かなお茶に仕上がります。それが、知る人ぞ知る隠れた銘茶『土佐茶』です。

■土佐茶がおいしい理由■

高知県には清流と名高い「四万十川」、そしてもう一つの清流『仁淀川』が流れています。仁淀川上流の山間は、肥沃な土地でありながら急峻な谷間のために、日の出が遅く日没が早くなります。日照時間が短く、昼夜の寒暖の差がはげしく、その急激な温度差から谷間を覆うように濃い霧が発生するところです。この厳しい自然環境とミネラルが豊富に含まれた土地がお茶にとっては最高の条件となります。土佐の山間で力強く育った茶葉は、香り豊かな透明感のある銘茶『土佐茶』となります。(詳しい場所は、土佐茶が育つ場所をご覧ください。)

国土交通省の水質調査においても年間の平均的な水質(BOD値)が最も良好な河川とされています。
国土交通省発表:平成26年全国一級河川の水質現況の公表について

■全国での土佐茶の評価■

土佐茶の約8割が静岡県など各県に出荷され、高級茶のブレンド用として使用されていることをご存知でしょうか。土佐茶の味と香りは非常に高く評価されており、品質は全国の中でも常にトップクラスにランクされています。

“NHKテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられた、全国に4人しかいない茶師十段の前田文男さん(静岡県)が、高知県の山奥のお茶を高く評価し、ブレンドの素材として使用”されているそうです。(引用:高知県 土佐茶ページ)

■土佐茶の希少性■

土佐茶の栽培は、清流が流れる山間の急傾斜地で作られるため生産量が少ない上に、そのほとんどをブレンド用として県外に出荷しています。そういった理由から『土佐茶』は「知る人ぞ知る隠れた銘茶」ということです。

■荒茶への工程■

茶葉は摘んだ瞬間から酸化酵素によって発酵が始まります。旨み成分のアミノ酸やカテキンの酸化を抑えるために、摘みとった茶葉は直ぐに加工場へと運ばれ、まず加熱処理されます。こうすることで酸化を止めることができるからです。摘みとってから酸化を止めるまで時間の勝負となるわけです。茶畑では、先に摘まれた茶葉は日陰の涼しい場所に置き酸化を防ぎます。その日摘みとる最後の茶葉が用意できると直ぐに加工場へと運びます。摘んだ茶葉はその日のうちに、加熱、乾燥、揉み等様々な工程を経てすべて荒茶にします。

荒茶にしたお茶が各お茶屋さんに運ばれ、それぞれのお店で火入れ(水分を更に飛ばす)、選別、ブレンド等を施し独自の味を作り上げます。同じ荒茶でも、このように各お茶屋さんで味が違ってくるのです。

茶葉が運ばれた加工場では…

摘みとった茶葉はその日に加熱。

茶葉投入口
茶葉投入口

ベルトコンベア
ベルトコンベア

加熱処理機
加熱処理機

加工場へと運ばれた茶葉は投入口へ素早く入れていきます。投入口から入れられた茶葉は発酵を抑えるため風を送りながらベルトコンベアで加熱処理する機械まで運ばれます。加熱処理機では蒸気で茶葉を蒸します。この熱処理を加えることで茶葉の酸化が止まります。1分30秒以上蒸すと深蒸茶とよばれます。蒸す時間が長くなるとお茶の苦味、渋みが飛んで飲みやすくなりますが、本来の旨みも飛んでしまいます。土佐茶の場合は20~40秒ほど蒸します。蒸す釜から出てきた茶葉は、次の工程の機械に運ばれるまで、下から風を送り表面の水分をとります。

加工場のお茶を捌ける容量は90kgや120kg等さまざまです。例えば、捌ける量が120kgの場合、大量の茶葉を捌くことができますが、品質の良いお茶が機械の容量を下回ると、不足分を品質の悪いお茶で補うことになります。この場合、品質の悪いお茶として格付けされてしまいます。90kgの場合は、多くの茶葉は捌けませんが、良いお茶だけの小回りの利いたお茶づくりができます。酸化酵素による発酵を抑えずにそのままにした完全発酵茶が紅茶となり、半分発酵させたお茶がウーロン茶となります。プーアール茶は土に埋めて発酵させ、ワインのように何年モノと言ってかなり高価なお茶になります。

乾燥と揉みを繰り返します。

葉打機
1.葉打機

粗揉機
2.粗揉機

揉捻機
3.揉捻機

  • 蒸した茶葉は水分を含んでいるので乾燥させるため、風を送りながらほぐす葉打を行います。
  • 粗揉機で手揉みされているように揉み、水分を飛ばしながら旨みを出していきます。
  • 揉捻機で茶葉をひっくり返しながら揉んでいきます。葉の中の水分も揉むことによって表面に出、更に水分を飛ばすことができます。
  • 中揉機では温風を送り、乾燥させながら更に揉んでいきます。ドラムの中には竹が張られており、ドラムが回ることにより揉まれます。ここで揉んだお茶はまだ勾玉のような形をしています。
  • 中揉機で揉み終わった勾玉のような形の茶葉を、精揉機で通常目にする細い茶葉へと揉んでいきます。
  • 自動乾燥機で乾燥させます。80℃の熱で水分を約5%飛ばします。ここでは葉の長い荒茶の状態となります。

中揉機
4.中揉機

精揉機
5.精揉機

自動乾燥機
6.自動乾燥機

振分機にかけます。

振分機
振分機

茶葉を断裁し、振り分けます。静電気で浮葉(割れた葉・白い茶葉)を除く処理を行います。これで荒茶の完成です。

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